パパが読むと とっても迫力がある 三びきのやぎのがらがらどん
いつも忙しいパパが、久しぶりに夕飯までに帰ってきた日のことです。
我が家の五歳と二歳の姉妹は、パパに甘えて大はしゃぎ。寝る時間になっても、とてもそんな気分になれません。
「よし。じゃあ今日は、パパが寝る前の絵本を読んであげよう。どの絵本にする?」
「何がいいかなあ。」
我が家の小さな本棚を、覗き込んでいたお姉ちゃんが、迷ったあげくに選んだのは、出産祝いでパパのお友達からプレゼントされた「さんびきのやぎのがらがらどん」というお話。
がらがらどんという名前の大中小のやぎ達が、美味しい草を食べに行くために、トロルという化け物の住む橋を一匹ずつ渡るお話です。
さて、パパが低い声で
と、タイトルを読んだだけで、二歳の妹がタタタッと走って、ママの背中の後ろに隠れました。小さな身体を、ピタッとママの背中にくっつけます。
小さいやぎが橋を渡る場面で、
「だれだ。おれの橋をかたことさせるのは。」
もうすぐ、トロルが登場するという場面になると、お姉ちゃんも慌ててママの背中に隠れました。姉妹の小さな手が、ママの背中で服をギュッと握って、肩を寄せ合って小さくなっています。
「そんなに怖い?」
笑いながら優しく聞くパパですが、姉妹は背中の後ろから出て来ません。それでも、絵本の挿絵はやっぱり見たい。お姉ちゃんは顔だけ出して、そっと絵本をのぞきます。
だけどやっぱり、最後に大きいやぎとトロルが対決する場面では、ママの背中の後ろに隠れて小さくなるのでした。
声が低いパパが読む絵本は、スリル満点。姉妹は、いつもと違うドキドキの絵本の世界を、身体いっぱい味わったのでした。