身体を密着 5人家族の狭い洗面所
3年前。我が家の大量の洗濯物を片っ端から洗って干していた週末の夜のことです。
パパにお願いして洗面所で、最後に回した洗濯機の中の、洗濯物を干す準備をしてもらっていました。
そこへ、ママが畳んだ洗濯物を、洗面所の引き出しに仕舞うため、持ち込みます。
「ちょっと入っていいかな。」
すると、パパが笑いながら言います。
「入れるものなら、入ったら。」
見ると、洗面所では長女が歯磨き。 それを順番待ちしている長男が、すぐ後ろの引き出しの前で、暇そうに立っています。
少し迷ったけれど、長男とパパの間の、50㎝四方の隙間へ滑り込み、洗濯物を仕舞います。 狭い空間には、子供の体臭や洗濯物の匂いが混ざっていて、何となくもわっとしています。洗濯物を整理しながら、ママはお腹から笑いがあふれてきます。
「なんでこの狭い洗面所に、4人もの家族がかたまってるわけ?」
すると、次女が面白がって見に来ます。
広い家のなか、なぜに5人の家族がこの狭い空間に密集しているのか。 考えれば考えるほどおかしくて、洗濯物を仕舞いながら、ケタケタと笑っていました。
子供たちが大きくなったら、こんなに家族が密集することもないだろうな。 大好きな家族との、この濃密な生活が愛おしいと、その時は思いました。
まさか、人と人が密であることが、非難される時代が来ようとは、夢にも思わなかったあの頃。身体を密着させて暮らす当たり前の日々が、懐かしいです。