ほっこり子育てワーキングママ

働きながらの子育ては、大変だけど幸せ。ほっこり楽しい日々の出来事に癒されて、子育て楽しいよって伝えたい。

ヘルニア手術、当日と翌日

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ヘルニアの手術の日は、朝から、食事は禁止。
手術直前は、飲み物も禁止です。
リハビリもない。

だから、することがない。
することがないと、考えるのは怖いことばかり。血圧は、普段あり得ない高さまで、ポーンと上がります。どんなにクールを装っても、身体が雄弁に、気持ちを語ります。
そこで、私は隣の仲良しおばあちゃんにSOS。話し相手になってもらって、関係ないおしゃべりをしてました。

さて、予定時間に点滴。血管が細くて深いので、ベテランの看護士さんが慎重に成功させます。この手術の点滴は、特殊な針で太くて長いので、普段の点滴や注射より苦労します。私の腕には、1ヵ所しか有効な場所がないようでした。

夫が来てくれたので、看護士さんの恩情で、おしゃべり見逃し。でも、すぐに時間になって、有無を言わさずストレッチャーに乗せられます。そして、沢山の物々しい扉を抜けて、顔を覆い隠した物々しい男女に囲まれ、沢山の質問をされ、もう良いのに怖い説明を受けます。

「それでは、麻酔を入れますね。痛いですか?」
「手が痛い。」
すると、注射の刺さっているところを、優しく撫でてくれました。そのうち、あっという間に眠りにつきました。

目が覚めたら、ストレッチャーで移動中。医師が興奮気味に伝えます。
「神経がペッチャンコでしたよ。ほら、これがヘルニア。」
ホルマリン漬けの、親指ほどの容器一杯に、赤い繊維と白い軟骨が入っています。
「意外と、小さい。」
「大きいよ~。どう?気分は?」
「良い夢、見ました。」
「どんな?」
「ん?忘れた。」

術後のことは、予想はしてました。
痛いだろうなぁって。
だから、点滴で限界までの痛み止めをお願いしていました。だから、じっとしてれば耐えられる。

しかし、左を下に寝ると左ももが、ジリジリ痛みます。背中を下にすると、すぐに傷口が痛みます。
「自分で寝返りは、絶対にしないで下さいね。看護士がやりますからね。」
それ以前に、痛くて出来ないよ、そんなこと。

優しい看護士さんが、夜中にも関わらず、一生懸命痛みの軽減のために考えて、左足ももの下に柔らかいタオルを敷いてくれました。そして、睡眠薬を飲ませてくれました。長かった夜。2時間ごとに痛くて目覚めては、寝返りしてもらいながら、少しだけ眠れました。

翌朝目覚めたら、少し楽になっていました。
朝食には、頼んでないのにお粥。考えてみれば、昨日は全く食べていません。
看護士さんが、リモコンでベッドを少しずつ起してくれます。

さて、食べなきゃと思うのに、食いしん坊の私が、びっくりするくらい食べられない。味噌汁を頑張って飲んで、お粥を流し込みました。
「あら?結構、食べたね。素晴らしい。」
看護士さんが言うので、食欲がないのは普通のようでした。なぁんだ。

午後、リハビリの先生とベテラン看護士に、新人看護師がくっついてやって来ました。歩くリハビリの開始なのです。

昨日の夜、あんなに痛かったのに、ベテラン看護士が、私を背中から抱え込んで、座らせながら言います。
「怖いよね。気持ちの問題だから。大丈夫、大丈夫。私に体重をかけて。」
いや、出来れば避けたいけど、避ける術がなく、するとあっという間に、ベッドから足をおろして座らされています。
「出来るじゃん。すごいすごい。」
やらされただけじゃん。何も出来てないじゃん、と新人看護士を見ると、目を丸くして身体を固くして立っています。

「はい。立ってみて。」
「えっ?いやいや、無理でしょ。」
「やってみなきゃ、わからないでしょ。」
看護士が私につながる、沢山の種類のチューブを持って待っています。

選択肢のない、この状況。ベッドの柵を握って、恐る恐る立ち上がります。出来た。
「ほら、出来るじゃ~ん。はい、歩行機。廊下に行くよ。」
立って、早速歩く?どこまで?
リハビリの先生が、すかさず言います。
「10m先の、あのトイレまで、歩いてみましょう。」
沢山の管と共に、4人グループは歩きます。トイレに到着して、引き返そうと思ったら、
「いやいや。まだ行けますよ。次の20m先の曲がり角まで行きましょう。」
「いや、行ったら帰らないといけないじゃないですか。無理無理。無理ですよ。」
「まあまあ。どうしても無理だったら、連れて帰ってあげるから。はい、行くよ。」
有無を言わさぬ言い方。こいつ慣れてやがる。毎日のように、術後患者を歩かせる、言葉のテクニックを感じます。くそっ。

20m先の角を曲がり、反対側の廊下を引き返すと、さっきのトイレの近くに到達。曲がって帰ろうとすると、すかさず言われます。
「まだまだ。反対側も回って、病棟を一周しましょう。」
「いやいや。今の倍じゃないですか。無理ですって。ないない。」
「大丈夫。僕、ちゃんと見てるんですよ。足も震えてない。膝折れもない。まだ行けます。」
「本当ですか?」
「僕を信じてください。大丈夫。今日歩くことは、大切なんです。」
そんな会話をしながら、本当に広い病棟を一周させられました。うそでしょ?

「疲れたでしょう。あとは、しっかり休んでくださいね。」

その言葉のとおり、横になったとたん眠りに落ち、夕方までぐっすり眠りました。疲れるよ、当たり前じゃん。