野生のきつねの可愛さを 理系次女が表現したら

家族でドライブしていて、人通りの少なそうな山道に差し掛かったとき、目の前をきつねが横切りました。

きつねは、車や人に慣れているらしく、驚く様子もなくゆうゆうと車の目の前を渡って、道沿いに車に向かってトコトコ歩いてきます。
車内からじっと見つめると、きつねと目が合いました。それでも、怖れることなくゆったりと車の横を歩いて通りすぎます。

長女が興奮して声をあげます。
「うわぁ、本物だあ。可愛い～。ちっちゃ～い。黄色いんだね、ホントに。」
きつねが通りすぎ、車をスタートして、しばらくして次女が静かに言います。
「なんかさぁ、胴体と尻尾の割合が、３対２だったね。」

それを聞いて、パパが笑います。
「すごいな、理系と文系の、この表現の差。」
次女が慌てます。
「だってぇ、可愛いって思って、それを表現したら、こうなったんだもん。」
「えっ？可愛いを表現したつもりなの？」
長女は長女で慌てます。
「なんか私は私で、子供っぽい直接的な表現だったよね。」
「いや、一般的に分かりやすかったよ。」
「えっ？私のって分かりにくかった？」
理系次女は、不思議そうです。

同じものを見て、感動して、心のままに表現して。野生の可愛いきつねが、家族の会話を、大きく弾ませてくれました。